CONCEPT

建築主との関係

建築主が建築家に何を求めているのでしょうか。建築主のイメージ通りに建物の図面を描いて行けば良いのでしょうか?
今まで体験したことのない空間や想像できない驚きやアイデアを提供してくれる人でしょうか?

建築主の生まれ育った環境と建築主の考える価値観をもとに、何にこだわり何を求めているのかを充分に聴き取るカウンセラーでもあります。
建築主の趣味趣向、家族に対する愛情、経済的事情、大きくは人生観などプライベートでデリケートな領域に大きく踏み込むことになります。
心の領域にまで入り込む信頼関係があってこそ、真に求められていることも理解できるし、
建築主の意にそわない意見でもはっきりと伝えることができます。
親戚のお付き合いをも超えた力強い見方です。そのような関係を望んでいます。

建築主が要望することに総てYESとして応えるのが私たち建築家の役割ではありません。
建築主の要望に充分耳を傾けながらも、伝えるべきは確実に伝え、
問題をどのように克服していくか選択肢は一つしか無いのかなど、分かりやすい説明を心がけています。

私たち建築家は建物のデザインだけに捉われ、自分の創りたい建物を意味も無く建築主に押し付けるようなことはしません。

有名な建築家には作風というものがあります。自らの意にそぐわない建築主の依頼は受けない方もいるようです。
建築主を建築家が選ぶことで、建物を一目みれば○○先生の作品と容易に分かります。
既製服とオーダーメイドの服はどう違うのでしょうか。
作風が同じような建物をわざわざオーダーメイド服として求められていませんか?

アトリエフォルムの創る作品はそれぞれに作風が異なります。
私たちは建物の形ではなく建物に刻まれていくこころ(基本)を大切にしたいと願っています。
建築主が違えば自ずと作風が違うのは当たり前のことです。

設計とは建築主とのコラボレーション、常に建築主と同じ方向を見つめ一緒に答えを探し求めて行くことだと思っています。